【詳細レポート】俳優 加藤雅也さんによる「演じることにとらわれない」ワークショップを実施しました!

2021.12.28

12月23日(木)に、「A芸」の特別ワークショップ「interACT(インタラアクト)」として、「演じることにとらわれない」ワークショップを実施しました!

今回の特別講師は、1988年の俳優デビュー以降、大河ドラマ『利家とまつ』、『八重の桜』をはじめとする様々な作品へ出演されながら、単身渡米しハリウッドにも進出されている俳優の加藤雅也さんです。

■「演技」という言葉にとらわれない

まず初めに「俳優の仕事は何だと思う?」と加藤さんから問いかけられ、それぞれ「人を演じること」「役やものを演じて人を喜ばせること」「その役として生きて人の心を動かすこと」と答える生徒たちに、早速、「演じること」について、加藤さんのアメリカでの経験を交えてお話してくださいました。

「日本人は『演技』って言葉を使うので、何かしなきゃいけないという気持ちになってしまう。けれど、 『演じること』を英語でいう “Acting” や “Work” だと捉えると、『何かをする』のではなく『その人物や何かを表現する』ということ」で、「嘘をつくこと」や「フリをすること」とは違うのだと言います。

開始直後で緊張する生徒たちの姿を見て、「ちょっと難しいかな?   わかりにくい?」「大丈夫なの?   ホントかな〜?笑」と優しく声をかけながら場を和ませます。そして今回のワークショップの目的である、「演じること」が「何かをすることではなく表現することだという加藤さんが考える演技の概念を生徒たちに少しでも理解してもらうため、用意したワークに進んでいきます。

俳優が演じるのは役の見かけではなく「中身」の部分

最初のアクティビティは、6人の男性の顔写真だけを見て、どの人が“悪い人”かを当てるというもの。生徒たちは、悩みながらも各々が思う“悪い人”に手を挙げていきます。


顔だけでなく、全身の写真を見せると、実は6人全員が警察官ということがわかります。“悪い人”だと思っていた男性が警察官の服を着ているのを見て、生徒たちは驚きます。


このアクティビティからわかることは、「“悪い人”に見える」からと言って、「“悪い人”ではないかもしれない」ということ。「悪い人を演じるから悪い人の表情をする」という
表面的な芝居をするのではなく、「なぜ」「どうして」と、そのような行動をする「理由」を考えることが大切だと生徒たちに伝えます。

次に加藤さんは、別の4枚の写真を見せながら、2つの物語を作ります。一つ目は、警察服を着た警察官が犯人を追いかけるというストーリーで、二つ目は、警察官の格好をした犯人がスーツ姿の警察官に追いかけられるというストーリー。


人は見かけではわからないこと、同じ4枚の写真でも並べ方が違うとストーリーが変わるということを見せることで、
「外見よりも中身の方が大事」で、どんな服装をしていても、映画の作り方(=編集)が変わるとストーリーも変わるのだということを説明しました。

演じる上では、見た目よりも、「なんで逃げるのか」「なんで泥棒をしているのか」という理由の方を考えることがより大切だと加藤さんは言います。

ここで、生徒から、「いい人が悪い役の人を演じるときは自分を殺さないといけないのか?」という質問が出ると、「悪い人(の役)でも、その人は自分が悪い人だなんて思ってない」と答える加藤さん。悪い人なのか、良い人なのか、と考えるのではなく、なんでそういうことをするのか「理由を考えること」が大事であることを繰り返し伝えます。

■演技は「よーいスタート!」の前から始まっている

続いて画面には、大きく腕をふり、「よーいスタート!」のかけ声で合図を出す加藤さんと、男女の徒競走の映像が映し出されます。女性は「よーいスタート」の前から走り出し、男性は「よーいスタート」を聞いてから走り出します。

この「よーいスタート」は、お芝居の現場では監督がスタッフに向けての始まりを示す合図になります。徒競走の例では、女の人の方が男の人よりも速く走れたのは、「よーいスタート」の声よりも先に準備(助走)ができていたから。お芝居をする役者は、「スタート」からではなく「よーい(用意)」の段階から、お芝居を始めることで、本番で遅れを取らず、気持ちが入った自然な演技ができると加藤さんは言います。

■「フリ」ではなく、本当にやること

後半では、前半のワークで学んだことを元に、台本を用いてのシーンスタディ(台本の一部の場面を演じて学ぶこと)を行いました。場面はハサミを探している<私>と<母(父)>との掛け合いというもの。


生徒たちには事前に演じた映像を撮影してきてもらい、ワークショップ内では一人一人の演技を見ながら、加藤さんからフィードバックをしてもらいます。


映像を見る中で加藤さんは、「演じるフリ」は「フリ」にしか見えないということを生徒たちに伝えました。今回の台本では、「ハサミを探すという動作」をパントマイムではなく、本当に探すことが大切で、また、探しているハサミはどのくらい大事なのか、どのくらいの時間探しているときにお母さん・お父さんが来たのかなど、場面の詳しい設定を考えることで、演技が変わってくると言います。

それぞれの映像へのフィードバック後、加藤さんからのコメントを踏まえ、今度は加藤さんを父親役に、もう一度同じシーンの演技に挑戦しました。


あえて「よーいスタート」は言わず、それぞれのタイミングでお芝居をスタートさせました。一人ひとりの演技を見て、探しているハサミがどのぐらい大切なものなのか、生徒たちが自分で考えた設定を確認した上で、新しい設定や条件を加えていき、ハサミを探す「理由」をより明確にしていきます。

何回か生徒たちの「ハサミを探す」様子を見たあと、加藤さんの「ただいま、何やってるの?」というセリフで、加藤さんと生徒による掛け合いのお芝居が生まれていきます。


加藤さんは短い時間ながらも一人一人の演技に向き合ってくださり、4人の生徒が加藤さんとの「親子」演技を経験。生徒たちにとって、とても貴重な機会になりました。

最後は視聴参加していた生徒たちも交え、Q&Aタイム。生徒たちからの質問に丁寧に答えつつ、低学年の生徒が、難しく感じている様子を受け取ると、「難しいか?  難しいよな」「なんとなく分かった、でいいんだよ」と優しく声をかけながら、希望者全員の質問に答えてくださいました。


▼メイン参加した生徒の声

今回の加藤さんのお話と、普段のレッスン講師の方の意見も取り入れて、自分だけの演技を見つけていきたいと思いました。(小5・女性)

演技していた時にもっと物をひっくり返して探すと本当になって面白かったです。役になりきるだけでなく自分のままでも演技する事がいいと教わって嬉しかったです。いつか一緒に演技できる様がんばります!(小3・女性)

▼ギャラリー参加した生徒の声

・演技とは、演じないこと。とても驚きました。視点が変わりました。(中1・女性)

わざとらしくなくリアルな演技をするために、例えば忙しい演技だったら、自分の本当に忙しかったことを思い出しながら演じると自然な演技になるということを学びました。(小3・女性)

・自分を使って表現する事が大切。「ふり」をすると嘘っぽくなるということがわかった。(小3・女性)

■演技メソッドは自分で作るもの

最後に、加藤さんは、俳優としての経験から、様々な演技方法を学ぶことで自分に合うものを見つけ、作ることができると伝えてくださいました。「いろんな演技の先生がいて、みんな正しい。いろんな先生のやり方があるけど、最終的には自分の演技方法をみつけてください。それは一生かかって見つけるものです。いろんな人の意見を聞いて、最終的には自分のメソッドを作る、というのを目指すといい」と教えてくれました。


▼加藤雅也さんから俳優を目指す子ども達へメッセージ

「“Acting is Believing.” という言葉があるように、とにかく信じること。常に考えることが大切です。ニュース見ててもなんか変だなーと考えること。なんでトマトは赤いんだろうとか。当たり前だと思わないで考えてみて。お芝居ってそういうところから始まる。いろんな人を観察して、考えてみて、日々勉強してください。またどこかで会いましょう!」

▼ワークショップダイジェスト映像

特別講師プロフィール:加藤雅也さん
大学在学中にモデル活動を開始し、1988年『マリリンに逢いたい』で俳優デビュー。1995年から活動拠点をロサンゼルスに移し、英語での演技、メソッド演技の勉強後、

ハリウッド映画『GODZILLA』に出演。北野武監督の『BROTHER』への出演を機に帰国。帰国後はドラマ『アンフェア』や連続テレビ小説『まんぷく』、大河ドラマ『いだてん』など、様々な役柄を演じる。映画の代表作は『BROTHER』『海猿』『真田十勇士』『キングダム』『二階堂家物語』『彼女は夢で踊る』など。現在は、映画『軍艦少年』が公開中。2022年には、映画『西成ゴローの四億円 -死闘篇-』、奈良県生駒市で撮影した短編映画『恋文』の公開を控える。

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