【詳細レポート】映画監督・枝優花さんによる『心と身体のエクササイズ』を実施しました!

2021.07.26

映画監督・写真家 枝優花さんによるインタラアクトを実施しました!枝さんは、2017年に初の長編作品『少女邂逅 』が国内外の映画祭で受賞されています。また、写真家としても様々なアーティスト写真や広告を担当されるなど、幅広くご活躍されています。

今回のワークショップは「心と身体のエクササイズ」と題し、心のガードを外すエクササイズに取り組みました。

前半のセッションは、お芝居の基礎についてゲーム形式で学びました。

◎「褒め合い」のエクササイズ

二人一組で向かい合わせになり、お互いのいいところを見つけて褒め合うというもの。一回目は生徒の保護者の方にご協力いただき、二回目は画面上の生徒同士で行いました。

枝監督はこのエクササイズを通じ、相手に「プラスの興味」を持ち、いいところをすぐ見つけることの大切さを生徒たちに伝えました。

「初めましての方も多い撮影の現場で、人と上手にコミュニケーションを取るためには、まず相手に心を開いてもらわなければいけない。そのためには、先に自分から心を開き、相手に興味を持つことが大事。そうすることで、お芝居の中でも相手からのボールをキャッチできるようになる」と言います。

◎「リズムしりとり」と「連想ゲーム」

続いて、「リズムしりとり」と「連想ゲーム」の2つのゲームを行いました。どちらのゲームが苦手かで、自分のタイプが分かると枝監督は言います。

ルールの多い「リズムしりとり」の方が苦手という人は、決められた設定の中で自分の好きなことをやるのが苦手なタイプ。一方で、ルールの少ない「連想ゲーム」の方が苦手という人は、自由度の高い中で、何をやっていいのかがわからなくなるタイプとのこと。

これらのゲームもまた、お芝居に通じる点があります。

ゲームの中で、リズムを止めて考えてしまった生徒たちに対し、自分の中でルールを作って、発信することに蓋をしてしまっていると枝監督は言います。

別の人になりきるお芝居をするときには、このような価値観や判断基準は、むしろ邪魔になってしまうので、戸惑ってしまった瞬間のことや、言葉が出なくなってしまった感覚を覚えて、演技をする時にはこの蓋を外していけるように、練習をしてほしいと生徒たちに伝えてくださいました。

後半のセッションでは、「表現しない」ことについて学びました。

◎様々なものを再現しよう

このエクササイズは、出されたお題に対し、いかにモノマネやイメージで演じているかに気づいてもらうことを目的に行いました。

例えば「「ラーメンを食べてください」というお題に対して、指をお箸に見立てることは「ラーメンを食べる」ではなく、「ラーメンを食べる表現」。本当の動作は地味で、それだけでは伝わらないかもしれないけれど、演じている側が本当にラーメンを食べている実感にになっていれば、おのずと見ている側には伝わる」と枝監督は言います。

「お芝居になると普段やっていることができなくなる。」

枝監督が伝えてくださったのは、「イメージ」でやることを排除することが本当のお芝居をすることの近道であること。そしてそのためには、自分自身の癖や特徴、普段「どういう風に何をしているのか」を理解することが必要であると言います。

▼参加した生徒・保護者の声

・今日のワークショップで学んだ、自分を観察して、自分の感じたことをありのまま出すことをこれから使っていきたいと思います。(小5・女性)

魅力的な人間になれば良いよという言葉がとても印象に残り、そのために努力しようと思いました。(中1・女性)

演技をいかにナチュラルにするか…リアルな演技をするか…そのためにはいかにして脳を騙してその感情を引き出すか…様々な勉強になりました。(保護者)

・表現ではなく、与えられた世界を本当に生きるということが演技の目標だということに改めて気付かされました。また、子どもの良いところを伝えることは、やはり年齢が上がるとともに減っていたことに気付いたので、気づいた時には褒めてあげようと思います!(保護者)

最後はギャラリー参加の生徒たちも交えてみんなでA芸ポーズで記念撮影!

ワークショップ後の枝さんにお話を聞きました。

枝さん自身がものづくりをされる中で感じることは、抱いているイメージと現実では起きていることが違うということ。

「自分という人間がどういう人間なのかという根本が大事。いい役者、いい芝居ではなく、人間として魅力的な人になるってどういうことだろうということをぜひ生徒と保護者の方が一緒に探ってほしい。」とお話されていました。

最後に、生徒たちへのメッセージとして、

「今は、好きなことに没頭してみる、新しいことを初めてみるなど、自分を磨くことに注力してほしい。」とエールを送ってくださいました。

枝優花さん、ありがとうございました!

特別講師プロフィール:枝優花さん

1994年生まれ。群馬県出身。映画『オーバー・フェンス』や映画『武曲』などのスタッフをしながら、2017年初長編作品『少女邂逅』を監督。主演に穂志もえかとモトーラ世理奈を迎え MOOSICLAB2017では観客賞を受賞、劇場公開し高い評価を得る。香港国際映画祭、上海国際映画祭正式招待、バルセロナアジア映画祭にて最優秀監督賞を受賞。2019年日本映画批評家大賞の新人監督賞受賞。また写真家として、様々なアーティスト写真や広告を担当している。短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」に参画中。

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